鄙び過ぎる名湯
平山温泉 総合評価:★★★★☆
龍泉荘(静岡県静岡市)
2008/03/17,2008/12/21
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名湯・秘湯と呼ばれる温泉は立地条件が厳しいものが殆どで、アメ車でのアプローチが困難だったり市街地から恐ろしく時間が掛かる場合が多い。
静岡市葵区にある「竜泉荘」は静岡市中心部から車で10分少々という絶好のロケーションにある、すばらしい泉質を持つ鄙びた秘湯である。地元での認知度も低く、マニアのみぞ知る温泉であるところがまた良い。
県道201号線(竜爪街道)を北上すると、通り沿いに石の看板が見えてくる。ここで車を停め・・・・ |
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竹薮の中の細長い石段を渓流に向かって降りてゆく。するとその突き当たり右側に・・・ |
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龍泉荘がひっとりと佇む。古い小さな旅館で、その扉をくぐると・・・まるでここだけ時間が止まっているかの様な錯覚に陥るレトロな空間が広がる。 |
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玄関では狸の置物や花火の筒がお出迎え。番台で入湯料を払って奥へ。「子供料金?いくらだったかね〜」あまりお子様は来ない様だ。 |
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注意はこの温泉の入浴可能時間。9:00〜17:00という紹介が多いが、受付は16:30迄。基本的には宿泊設備なので夕方以降は宿泊客が優先になるとのことであった。最初にここを訪れた時は道に迷って受付終了時刻を5分過ぎてしまい、入浴できず。
今回は2度目のアタックとなる。 |
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開業50年というその施設は極めて質素なものである。「男湯」「女湯」の表示も紙に書いて張られた手書きのものだ。まさに"鄙びた"という表現がぴったりだ。
豪華な岩風呂や露天もなく、壁はボロボロ、洗い場の蛇口は使えるのは1つのみ,浴槽は味も素っ気もないタイル張りの内湯1つのみである(が、清掃は行き届いておりピカピカだ)。 |
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脱衣所の設備はこのロッカーのみ。もちろん鍵などない。ここまでシンプルだとかえって潔い。 |
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浴槽の中央には40Aほどの径の塩ビパイプで源泉が引き込まれ掛け流し。槽は3つに仕切られ、各槽の温度が微妙に異なる。4人も入れば一杯だ。中央の岩には飲用のコップが置いてある。
そしてその泉質は・・・すばらしい。いかにも温泉らしい硫黄臭漂う湯の中に、大量の湯の花がまるで雪の様に舞い踊る。さっぱり・しっとりとしたなんとも良いお湯である。ちなみに効能が低下するため石鹸・シャンプーは使用禁止。 |
配置(男湯) |
配置(女湯) |
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湯の花に関する注意書きがある。その理由は・・・ |
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信じられないような濃度の湯の花なのである。まるで雪が降りしきるがごとく、湯の中でひらひらと湯の花が舞う。 |
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これまた鄙び感満点の効能表示。旧漢字が歴史を感じさせる。 |
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成分表も手書きのものだ。 |
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なぜかいつも夕暮れ時の外来入浴時間が終わるぎりぎりのときに着いてしまうのだが・・・再訪時は最終の入浴者ということで女湯を貸切にして頂き、家族風呂として利用させて頂いた。
照明は男湯と女湯の仕切り壁上に1灯のみ。夕方になると浴室内はかなり暗いがそれもまたひとつの趣きである。 |
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浴槽のいたるところがなんとガムテープで補修されている。天井・壁はぼろぼろ。
しかしながら、この3つに仕切られた浴槽は実に巧妙にできている。順にお湯がオーバーフローして回って行く為、各槽の温度が微妙に異なり温い槽と熱い槽を順番に移動しながら長湯を楽しめる。
設備の鄙び度に反比例するかの様に、浴感はすばらしいの一言である。全体的に温めのお湯にも関わらず、体の芯からぽかぽかに温まり、浴後しばらく汗が引かない。 |
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外を見ると建設中の第二東名が見える。時代は変わってもその素朴さはいつまでも失わないでいて欲しいと思う。
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小奇麗な高級温泉旅館や豪華なスーパー銭湯とは趣を全く異にする、人を選ぶ温泉である。純粋に泉質を楽しみたい。 |
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泉質★★★★★ 価格★★★☆☆ 施設★☆☆☆☆ 秘湯度★★★★★
ファミリー度★★☆☆☆ リピート度★★★★★ 清潔度★★★★★ 混雑度★★★★★
[DATA]
住所:静岡県静岡市葵区平山136-2
電話:054-266-2461
営業時間:9:00〜17:00(最終受付16:30)
定休:毎月29日と30日
駐車場:あり
料金:大人500円、小人250円
設備:ロッカー(鍵なし)、石鹸・シャンプーなし(使用禁止)、シャワーなし、ドライヤーなし
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給湯方法:源泉掛け流し(加温の為、加熱あり)
効能(入浴):慢性関節筋肉リウマチ、神経痛、胃腸病、慢性婦人科疾患など
効能(飲用):
泉質:単純硫黄泉 (弱アルカリ性緊張冷鉱泉)
泉温:16℃
pH:8.0
湧出量:4.8L/min
源泉名:御殿姥温泉
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感想:さっぱり・しっとり・ぽかぽか系 |